はじめに
お互いにちょうどすれ違う形で休学、留学をしていた関係で、同期なのに一度も話したことがなかったインタビュアー池田瑛莉と伊藤純菜さん。しかし今年の十月に運命的な再会を果たしました! これはぜひお話を聞かなければ、ということで、留学体験インタビューを敢行しました。明るく前向きな伊藤さんの言葉で、留学を考えている人の背中を押すことができれば嬉しいです!
カナダ留学のきっかけ
——まず、留学先の国と大学はどこだったの?
伊藤:2021年9月〜2022年5月まで、カナダのバンクーバーにあるブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)に行っていたよ。

——留学しようと思ったきっかけはあった?
伊藤:小さい頃からずっとディズニーチャンネルのドラマ『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』や『glee/グリー』がすごく好きで、そこからアメリカへの憧れがずっとなんとなくあったっていうのが一つかな。あとは、英語を話したい、話せたらかっこいいなっていう思いがあった。父親も私を留学に行かせたがっていて。父親は英語ができなくて、でも多分仕事で英語ができたらこれができたのにっていう後悔があったらしいから、高校の時もずっと「留学したら?」って言ってくれていた。「しろ」とは言われてないんだけど、「したら?」「してみたら?」って。それもあって、「行かせてもらえるなら行くか」ということで留学を決意しました。
——なるほど、背中を押してくれる人がいたんだね。留学先にカナダを選んだ理由はあった?
伊藤:まず英語圏に留学したかったんだよね。あとは、イギリスはご飯があんまり美味しくないって聞くし、アメリカは銃が怖いなって思って。カナダは治安がいいし、英語もきれいって聞いたことがあった。アメリカのアナウンサーも、カナダ英語で話すことがあるらしい。あとなんとなくカナダに良いイメージがあった。実際、平和だったよ。場所にもよるんだろうけど、UBCの周辺は高級住宅街だったから、変な人もいなかった。
日本とは違う?UBCでの授業
——UBCではどんなことを勉強したの?
伊藤:UBCのFaculty of Artsに在籍していたんだけど、そこでは主にビジネスの授業を取ってた。理由は、慶應では色々な授業を受けたけどビジネスの授業は取ったことがなかったからっていうのと、UBCはビジネスの授業が有名だったから。
——印象に残った授業はある?
伊藤:一番面白かったのは、ビジネスアイディアを出して、その案を実現できるところまで持っていくっていう授業かな。まず起業に必要な財政、法律……といったことを学ぶ。それで例えば財政の授業の後は、誰から融資を受けて、どういう構造で利益を出すのかっていうのを考える。それから法律の授業の後は、どこで弁護士を雇うのか、というようなことを。こんな具合に細かく決めていったことを、学期の最後の発表会で発表するっていう授業だね。
——グループワークはあった?
伊藤:授業の理解を深めるためのグループワークがあったよ。ビジネスアイディアを考えるのは個人で、それは授業外の時間で進めてた。
——グループワークの様子はどうだった?
伊藤:グループワークはメンバーがほぼ固定だったんだけど、みんな協調性なさすぎて(笑)例えば「どうすればマーケティングが一番上手くいくか」っていうようなテーマを話し合ってる時に、書記の人が自分の納得できない意見をホワイトボードに書かなくて、それに半ギレした生徒が自分で書きに行ったりとか(笑)それ見て外国で働けないやと思って。全員が全員そうじゃないと思うけど、これくらい我が強くて意見持ってる人たちと対等にやり合うってちょっと無理だなって。意見を言わないと「何で言わないの?」って言われたりもして。でも面白かった。日本でグループワークやってもそんなことにはならないじゃん? カナダ人が全員そうっていうわけではないけど、日本ではできない体験だったから、面白かったよ。
——確かに日本ではグループワークで誰も話し出さない、みたいなこともあったりするから、そう考えると面白いね。ところで、伊藤さんが発表したビジネスアイディアはどんなものだったの?
伊藤:私のプロジェクトは“Bijin”って名前でやってた(笑)「ホットペッパービューティー」をカナダに持ってくみたいな。カナダの美容院ってグーグルのレビューしかなくて、日本みたいなまとまったプラットフォームがないんだよね。美容院が探しにくかったから、これにしようって。

授業でビジネスを考えるにあたって、まずは私がどういうことを好きか、何をストレスに思うか、リスクを取ることがどれくらい怖いか、とかそういうことを分析するんだ。質問が70個くらいあって、それに答えていくと自分のバックグラウンド、行動のこと、ライフスタイルなんかが分かっていく。授業では必ずしもこの分析に則ってビジネスアイディアを出さなきゃいけないわけではなかったけど、アイディアを出す上でそれをひとつの目安にはできた。それで、ビジネスの概要や案を出す時にはターゲット層のペルソナを置いて、女子大生が髪の毛を切りたいと思った時に次にどういう行動を取るかっていうことを考える。そこからアイディアを具体的な形に落とし込んでいく……っていう流れだったね。

——すごい、面白そうだね! 実践的で、なんというか海外っぽい授業だね。
伊藤:確かに。他にも5ドル渡されて、「これを授業時間内に増やして」っていう授業があった。そこでボイスパーカッションさせられた(笑)
——ボイスパーカッション!(笑)
伊藤:他のグループは「絵を描くからお金ください」みたいな感じだったけど、私のチームはバカだから「何でもやるからお金ください」って言って、「じゃあボイスパーカッションやってください」って言われてやった(笑)
基本的には座学の授業も多かったけど、こういう実践的な授業もあったね。

